$安楽逸遊!! Ameba支店-八ッ場ダム

 ◇推進派が世論誘導か

 建設の是非を検証中の八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)を巡り、国土交通省関東地方整備局が集めたパブリックコメント(意見公募)で、寄せられた意見の約96%が同一文書に署名だけ手書きしたものだったことが分かった。「八ッ場ダムは必要不可欠」などと印刷され、ダム推進派が組織的に署名を呼びかけた可能性が高い。ダム反対派は「世論誘導の狙いがあるのではないか」と反発。専門家は「パブリックコメントの趣旨から逸脱した行為」と批判している。

 同整備局が25日にまとめた「パブリックコメントの結果」によると、寄せられた5963件のうち5739件は全く同じ内容だった。「八ッ場ダムは利根川水系における治水、利水の安全度を高める対策として、もっとも現実的、かつ確実に効果を見込める事業」「速やかにダム本体工事に着手し、計画通りに事業を完成すべきだ」などと推進を求める意見がパソコン文字で印刷されており、署名だけが異なっていた。

 パブコメは10月6日~11月4日に全国から募集。集まった5963件のうち埼玉県在住者の意見が5738件に上っており、同一文書の大半は同県在住者が寄せたとみられる。

 同整備局は「パブコメは多数決ではないので、特に問題はない」と説明しているが、八ッ場ダム建設に反対する市民団体「水源開発問題全国連絡会」の嶋津暉之共同代表は「世論誘導のため組織的に署名を集めたと思われる。非常に問題だ」と話している。